先週の台風、皆さまご無事でしたか?
被害にあわれた方々の様子を、TV等で拝見して、心が痛みます。
一日も早い復旧、そしていつも通りの暮らしが戻ってくることを祈ります。
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私は2011年、東日本大震災の時、仙台に住んでいました。
リフォーム会社に勤めていたので、震災の翌々日から、一時間ほど歩いて会社に行き
電話対応やら、いろいろ、忙しかったなぁ、と思い出します。
津波で泥だらけになった家、そして津波でガレキとなった家を見て
海=自然に還らない建物を作り続ける仕事に、疑問を持つようになりました。
建物に限らず、家電製品や食品に至るまで、色々な物が「使い捨て」になっている今。
捨てた後、それがどのような形で土に還るのかイメージできない物だらけなのに
消費ばかりを繰り返す毎日に、とても違和感を覚えました。
震災から一年後、私はリフォーム会社を退職し、木造を得意とする設計事務所へ。
できるだけ地元の木を使い、家を建てる。
これは、昔は当たり前のことだったのに、今では簡単な事ではありませんでした。
でも、決して不可能な事ではない、という事を、
コツコツと実績を積み上げてきた所長から、教わりました。
事務所では、古民家の移築再生も手掛けていました(私は見ているだけでしたがww)
古民家を再生するのは、地元の木を使って家を建てるより、さらに難易度が高い。
でも、海に流れても、自然に還ることのできる家。
木材は、「使い捨て」にならず、むしろ月日を重ねるごとに魅力を増します。
古民家はとても力強く、そして優しく、積み重ねてきた人々の想いが詰まっていて
私に大切な事が何か、を教えてくれているようでした。
そんな経験があって、今。 古民家の宿をやっています。
正直、宿泊業の知識はゼロで、始めてから今日まで、四苦八苦しながらの日々。
でも、やってみたかったんです。
ピカピカにリノベーションされた古民家じゃなくて
小さな古民家で、不便さも残しながら、背伸びせずにやれることを、やろう、と。
旅人には不便な場所、目の前は採石場で騒音もある場所。
条件は決して良くなかったけれど、古民家が教えてくれる「大切な事」、つまり
使い捨てにならないこと、木の持つ力強さと優しさ、不便はマイナスではない事
そんな事を感じて欲しくて、勢い余って、宿にしてしまった。
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毎年来る台風、そしていつか来るであろう東海地震。
建物を所有するって、本当にドキドキが止まりません。
だけど、私は、宿を始めたことを後悔したことは一度もなくって
むしろ、自分をほめてあげたいぐらい(笑)
よく、こんなバンジージャンプしやがったな、って。
私に神さまが授けてくれた使命があるとするならば、
それは、観光を作る事ではなくて、
古民家が教えてくれているような、「大切な事」を、建物を介して、伝える事。
とってもわかりにくい話で恐縮ですが、
私は木造住宅が三度の飯より好きなんです(たぶん)
だから、その好きなモノを通して、使い捨てじゃない世界を作れたらな、と。
そんなふうに思っているのです。
そんなふうだから、私は「家主」であって「宿の女将」ではないのです。
食事も出しませんし、ほとんどお客さまと関わらないスタイルでの営業です。
まだまだ、自分の使命を形にできていなくって
日々の業務に追われて、魂抜けた自分がいたりもします。 それはとても反省。
けれど、皆さまに古民家で過ごす意味を、少しでも味わってもらいたい。
その想いは、ずっと持ち続けています。(伝わりにくいけどね)
今回の台風では、不思議なほど何の被害も無かった宿。
神さまが「しっかり前を向いてもっと走れ」と言ってくれたのかもしれない。
引き続き、元気に営業を続けていきます。
皆さま、今後も、どうぞ宜しくお願いいたします!
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